MIHOLO’s 図書室

本と音楽、たまに猫の雑記

夜中の薔薇

さすが向田邦子さん。素敵な題名だなと思ったら

読んでいくと、「わらべは見たり、野中の薔薇」の歌詞を間違えて覚えて

夜中の薔薇と歌った人がいたという内容が書かれていた。

 

そういえば、子供の頃、聴いて覚えた曲は確かに意味が解らず、歌詞もうろ覚えで歌っていたものが多かった。

赤い靴も「異人さんに」を「ひいじいさんに」でしょ?とか、みんなネタみたいな事言ってた。

 

向田邦子さんと言えば、私の中で強烈な思い出になっているドラマ「阿修羅のごとく

テーマ音楽ともあいまって、あの曲を聴くと、このドラマを思い出す。

2,3年前に再放送を見て、子どもの頃よく意味はわかってなかっただろうにななんて思った。

 

本に戻って、このエッセイで有名なのは「手袋をさがす」だと思う。

気に入った手袋がみつからない。気に入らない手袋をはめるくらいなら、

はめない方がマシだと思ってた。

それは「手袋」だけを指しているのではなく、人生そのものにおいても

納得できなければ許せない。仮に妥協しても、自分に嘘をつく芝居など出来ないと。

 

おかげで本人もしんどいこともあっただろうけど、もっともっとと追い続け「手袋をさがしている」のは

生きることへの情熱が人一倍あったからじゃないのかななんて思ったりもする。

 

私もついこの間まで、歌を歌い続ける人でありたい(しかも何かを残せるような)

という目標を情熱だと思っていた。

でも本番が終わってもあんまり満足したことがない。

失敗とか未熟な技術面は別にして。

あんなにやりたかったんだから、もっと喜べばいいのにと思いながらも

なんとなく不満を残して、でも次回こそは!と希望も残して続けていた。

それは、情熱ではなく執着だったと最近気付いた。

歌う機会が減ったこの1,2年、楽になってる自分を発見してしまった。

私にとっての気にいる手袋は、しなくてもよいものだったのかも。

 

向田さんが事故で亡くなってしまうなんて運命って本当にわからない。

ご存命なら、92歳?くらいかな。

昔のエッセイなのに、古さを感じさせず、

今でも新装版として増刷され続けているのは、向田さんの魅力がいつの時代も伝わるからだろうな。