ひかりをすくう
「理想の自分を追い求めると生きづらいのだ」と社会学者の加藤諦三さんの著書にあった。
一言では、その言葉の裏や付随してくるものを理解するのは難しいけど、
ちょっとわかる気がする。私もいつも自分にダメ出しをしてしまうから。
「ひかりをすくう」の主人公智子は頑張りすぎてパニック障害になってしまった。
支えてくれる哲ちゃんと一緒に都心を離れて暮らすことにするが、
劇的に智子が元気になるわけでもなく、
小さな出来事に揺れながら、でも凝り固まっていたものが溶け出していく感じが
肩の力を抜いてくれて癒やされた。
でも、
英語を教えることになった小澤さんが仔猫を拾って智子に助けを求めた時に
謝罪を繰り返す小澤さんに
智子の「謝るのではなく、どうするかを考えるべきなのだ。
謝るということは、つまり誰かに状況を預けてしまっているということではないか。あまりに無責任だ」
と苛立つシーンがあり、智子の真面目さに何故だか私が怒られてる気がした。
確かに、相手に選択してもらえれば楽なことって沢山あるからね。
そして
「人間という生き物は、きっと立ち止まれないのだ。
どれほど留まろうと思っても、必ず動いてしまう。
たとえ留まることに成功したとしても、今度は周りが動いてしまう。
結局わたしたちを包む風景は変わってしまう。」
というのがあって、当たり前なんだけど、自分が変わるのだから、
相手だって、環境だって変わる。でも、何故だか普段はそのことをつい忘れてしまう。
もし過去の後悔している出来事に遭遇して、
あの頃の私じゃない私だったらどうやって乗り越えていくのか。とふと思った。