村上さんのところ
毎年10月のノーベル文学賞発表時のハルキストのみなさんの印象が強すぎる
村上春樹さん。
(どれだけ「の」で繋げたわかりにくい文章なんだ。書き直さないけど)
村上さん自身は「ハルキスト」ではなく、
「村上主義者」という名前があると仰ってましたが。
私は、小説はいつも挫折してしまうダメ読者なんだけど。
この「村上さんのところ」を読んでから、
村上さんのエッセイはとても好きになった。
世界中から届いた3万7465通のメール全部に目を通して、
3716の回答から473の問答の載ったこの本。
面白くて、考えさせられて、元気が出る。
私の好きな問答
【330】読書量が少ないと焦る高校生へ
読んだ本がどれくらい自分の「血肉」になっているかというのが、むしろ大事なんです。たとえば本の中に出てきた風景がどれくらい自分の中に残っているか?
読んだ本の数よりは、あるいは蘊蓄みたいなものよりは、そういう心にかたちとしてしっかり残るものが、あとになって本当に役に立ちます。
【368】感受性の磨きかたを教えてください
感受性を身に着けるためには、努力が必要です。何かがほしいと思ったら、こちらも何かを差し出さなくてはなりません。「痛い思いをして、身体で覚えていくしかない」ということです。気持ちよく生きて、美しいものだけみていても、感受性は身につかないということです。
【377】つまらない文学よりビジネス書を読め!と上司に言われた人に
小説の優れた点は、読んでいるうちに「嘘を検証する能力」が身についてくる。小説はすぐには役に立たないけど、長いあいだにじわじわ役に立ってくる。
とか、真面目なものばかり選んでしまったけど、夜に書いたラブレターは危険だとか、簡単なビールのおつまみについてとか、クスっと笑えるのも沢山ある。
でも、心がざわざわした時に読んで、そうか、そうかもしれないと納得したのは
「規則正しく生活し、規則正しく仕事をしていると、たいていのものごとはやり過ごすことができます。誉められてもけなされても、好かれても嫌われても、敬われても馬鹿にされても、規則正しさが平準化していってくれます。本当ですよ」
淡々と過ごすことで自分を癒せる時あるもんね。と深く納得した。