続・森崎書店の日々
「森崎書店の日々」の続編。
もちろん、続編じゃない方も良かったからこその続編なんだけど、
続けて読んだら続編がとても良くて印象深くなってしまった。
主人公は前編で、恋人だと思っていた人が恋人じゃなかったという事件で
傷ついて、叔父のサトルの古書店でしばらく冬眠した貴子。
元気を取り戻した時に、サトルの失踪したはずの妻、桃子さんが戻ってくる。
今度はその桃子さんが、、、、
と、派手なことは起きないんだけど、いわゆる不器用と言われそうな
登場人物達が、目の前にある出来事に一生懸命向き合っていく姿を見ていると
自分も頑張ろうと思える作品。
桃子さんの最期は、人間誰しもが避けては通れないけど、逝く側、送る側
どちら側にいても、前を向いていたいとは思う。
貴子がうじうじ悩んでいる時に桃子さんからの
「自分の心を開かないで、相手にだけそれを求めるっていうのは虫のいい話じゃない? あなたが一歩前に出ない限り、なんにも解決なんてしないと思うわよ。」
「これからも生きていれば、悲しいことなんてきっといくらでもある。そこら中に転がっている。だから悲しみから逃げようとなんかしないで、そんな時はいっぱい泣いて、悲しみと一緒に前に進んでいけばいい。」
のセリフと
最後の
「人間は様々なことを忘れていく。忘れていくことで生きていく。
だが、人の想いというものは、砂に尾を引く波のようにいつまでも残る」
が好き。
本の中では神保町の古書店が舞台になっていて、私は2回くらいしか行ったことないし、大型チェーン店の古本と古書店に並ぶ本との区別もよくわからないんだけど、
本の街があるっていいね。
本屋が沢山閉店していくけど、本の街があるってことは
やっぱり人間本を求めているってことだと思うし。
この本に出てくる喫茶店「すぼうる」は「さぼうる」の事だろうなとか
知っていると、ちょっと嬉しくなる。
季節はちょうど、今、古本市だ。
タイミング合えば行きたいな。