MIHOLO’s 図書室

本と音楽、たまに猫の雑記

お探し物は図書室まで

「あのー。新書を借りたいんです~」と、彼女は言った。

当時、大学のレファレンス席にいた私は「なんの新書ですか?」と聞く。

「新しい、に、書くと書いて【新書】って言うんですよ!ありますか?」

と少し得意げに答える彼女。

いやいや、新書は知ってる。一応(笑) その後詳しく聞いてみると

大学の授業で新書を借りるという課題が出て、

どうやら、彼女は、題名が【新書】と言う本があるのだと思ってたらしい。

なるほど!そう来たか!

 

司書にとってレファレンス(利用者の探している資料を調べる)は

一番の醍醐味を感じられる業務だと思う。

なんなら、利用者が、もういいですと断ろうとしても

いやぁ、まだまだ待ってください!と諦めない(それもどうかとは思うけど)

 

この「お探し物は図書室まで」はマツコ・デラックスさん風の司書小町さゆりさんが

来館した迷える人に、探している本と共に直感で、ある本を渡す(付録と一緒に)

主人公は、その本(と付録)から何かを受取り、自分の本当の気持ちに気づき

行動を起こしていく。というハートフルな話。

 

登場人物の悩みは主に仕事に関することが多く、元雑誌編集者の夏美さんが

司書の小町さんに転職の訳を聞いた時に

「その時に一番やりたいことを、流れに合わせて一番やりたい形で考えていったら

そうなった。自分の意思とは別の所で状況は刻刻と移りゆくからね」

定年退職した正雄さんが、いろんな職を転々とした管理人の海老川さんに

「のちのち役に立ったのだから素晴らしい」と言うと

「でも、何かを始めるときにはそれが後から役に立つかどうかなんて、

考えたことないですよ。ただ、心が動いたら、それだけでトライする理由になると思うんです」

 

それと、本の中で紹介している石井ゆかりさんの「月のとびら」の中の1節

ー私たちは大きなことから小さなことまで

「どんなに努力しても、思いどおりにはできないこと」に囲まれて生きていますー

が、とても良かった。

 

自分の意思とは別に状況が変わるかもしれない中で、心が動いて行動を起こすのは

年齢やキャリアなんかは関係ないと言われたみたいだった。

と言うより私も小町さんと一緒で、その時に一番やりたいことやって生きてるから、

そうだ!そうだ!と同意したのかも。

 

周囲を見れば、素晴らしいキャリアを積んでいる人や、

才能あふれる演奏をしている人が沢山いて、羨ましがった日々もあったけど

他人と比べるのではなく、自分の持ち物で幸せを作っていくのも面白いと

感じられるようになって少しは落ち着いたのかも。まだ信用できないけど(笑)

こんな私には小町さんはどんな本を選んでくれるかな~